A4一枚で完結するWebディレクター打合せ術【打合せシート付き】

A4一枚で完結するWebディレクター打合せ術【打合せシート付き】

Webディレクターにとってもっとも重要なタスクの一つがクライアントとの打合せですよね。

現状把握

クライアントの希望

競合やターゲットについてのヒアリング

などサイト制作の成否に関わる重要なタスクです。

Webディレクターの皆さんは必要な項目についてきちんと打合せできていますでしょうか?

曖昧なままだと、希望とズレたサイトになってしまったり、ターゲットに受け入れられないサイトになってしまったりしますから必要な事柄を一度でヒアリングし、理解するスキルはWebディレクターにとって必要なスキルだと言えます。

ただ「打合せにいくと、いつも相手のペースに合わせてしまって聞きたいことが全部聞けない」や「打合せで、明確に何を聞けばいいかわからずに、帰ってきてしまう」といった方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はWebディレクターが打合せでヒアリングするべき内容、確認するべき内容を解説したいと思います。

実は打合せする内容は非常にシンプルでA4一枚にそのすべてをまとめることが可能です。

私が普段使っている打合せシートもダウンロードしていただけますので、是非ご覧ください。

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ヒアリングするべき内容、確認するべき内容は大きく分けて3つ

是非打合せでクライアントのもとに足を運ぶ際には、「現場で頭が真っ白になってしまった」、「打合せするべき内容をまとめたシートを持ってなかったので聞くべき内容を聞き忘れてきてしまった」といったことがないように、ご提供する打合せシートをご活用いただきたいのですが、打合せシートを持っていても、何故それを聞く必要があるのかわからなければ意味がありませんから、「打ち合わせるべきこと」について、まずは解説していきたいと思います。

まずクライアント先に出向いて、聞くべきことは大きく分けて以下の3つです。

クライアントの情報・・・社名や連絡といった基本情報はもちろんですが、誰が今後の窓口になっていただけるのか、相手がどの程度の知識があるのかを把握しておけば今後のコミュニケーションを円滑に進めることができますよね。

サイト制作における希望・現状・・・デザインやどういった効果を期待するのかといった希望。また現状と希望にギャップがあるためにサイトを制作するわけですから、「現状の数値」や「現状困っていること、悩んでいること」もWebディレクターとしては把握しておきたいですね。
現状を改善して、希望を叶えるために「こうしましょう」「ああしましょう」という企画をするわけですから、どちらか一方しか聞けなかった・・・では片手落ちです。

サイト制作における確認事項・・・ドメインはどうするのか?新規でとるのか?移管するのか?納期はいつなのか?などサイト制作に必要な確認事項がいくつかありますので、それらについてクライアントの確認を取ります。
確定しておかなくては、作業ができなかったり、進捗が前に進まないことに関しては打合せの段階で確認をとっておくようにしましょう。

それらについてA4一枚にまとめた打合せシートがコチラとなります。

Webディレクター用打ち合わせシート

Webディレクター打合せシートのPDFファイルはこちら

打合せの時間は1時間半~2時間くらいでしょうから、その時間内で必要なことを聞き、記録に残せるようシートにしています。

印刷してご持参してもいいですし、例えばPCで記入できるようエクセルやスプレッドシートを用意してもいいと思います。

いずれにしても「何を聞いていいかわからない」「聞き忘れた」といったことを防ぎ、サイト制作に必要な情報をぎゅっとA4一枚にまとめられるため管理も楽になります。

何か困ったときは、この打合せシートに目を通せば、大切なことがすべて記載されていますから、制作チーム全員で共有すればお互いの意識がズレることもありませんよね。

是非ご活用下さい。

打ち合わせを効率よく進めるために実践するべきこと

Webディレクターの方に打合せの時間を効率よく使うために実践していただきたいことが二つあります。

打合せシートは事前にクライアントにも渡しておく

クライアントにも、打合せでどんな内容を打合せするのかということを理解していただいておけば、クライアントも準備しておくことができますよね。

数値的なことは正確な情報を提供していただかなければ、仮説や効果測定もいい加減なものになってしまいますよね。

クライアントにもきちんと時間をかけて準備をしていただければ、それだけ正確な情報や整理された情報が手に入りやすくなりますから、打合せに赴く1週間までには「打合せでお聞きしたい内容をまとめたシートをお送りしますので、わかる範囲で情報を整理しておいてもらえますか?」とお願いしておくと良いですね。

1週間前というのは、あまりに時間が空きすぎると「後からでいいか」と忘れてしまいますし、あまりに直近すぎるとまとめる時間もないでしょうから、1週間前くらいがベストだと思います。

記入した打合せシートはクライアントとも共有する

当日、打合せを行い、いただいた情報を打合せシートにまとめます。

そしてそれは制作チームだけではなく、クライアントとも共有するようにしてください。

現場で一枚コピーを取ってもらって渡してくるでもいいですし、データで作成するのであればデータをお送りする形でもいいと思います。

大切なことは「言った言わない」「聞いた聞いてない」を防ぐためです。

クライアントを守ることにもなりますし、自分自身を守ることにもなります。

記録をきちんと残しておけば「あの時はこうおっしゃってたんですが」という話ができますよね。

クライアントによっては途中で要望がコロコロ変わるケースもあります。

それを「おたくが聞いてないからだ」と言われるのは辛いですよね。

そうならないためにもきちんと記録に残して、相手方とも共有するのを忘れないようにしましょう。

また共有することは、お互いの認識を共有することですから、これからの話し合いを重ねる上で認識のずれというのは起こりにくくなります。

結果としてスムーズなサイト制作に直結しますので、是非実践してみましょう。

当日の打合わせの流れ

基本的には打合せシートの流れに沿って、話を進めていきますが念のため打合せの流れについて簡単にまとめてみたいと思います。

私は次のように進めていきます。

①会社のことや、業務内容、サービス内容などについてヒアリング
→まずは御社のことについて教えていただきたいのですが、という切り口で打合せを始めていきます。

②現状の集客情報
→今はどのように集客をされているのかお聞きしたいのですが、と話を進めます。web集客の現状もそうですが、Web以外からの集客チャネルや成果についても確認。

③現在のサイト運営状況
→打合せにいくほぼすべての企業がリニューアル案件ではないでしょうか。(今の時代、Webサイトを持っていないという企業はごくわずかでしょうから)
その上で、現在はページの更新やリスティング広告の管理などはどのようにやっていらっしゃるのですか、と社内の体制についてお伺いします。

④サイト制作(リニューアル)をしようと思った動機や現サイトの悩みや不満
→動機や悩み、不満の裏にクライアントの希望があるわけですから、ここを聞かないわけにはいきません。
悩みや不満を解消しなければ、あなたに任せてよかった!とはなりませんから、ヒアリングの最重要項目となります。

⑤新しいWebサイトに何を期待するか
→④の裏返しとなりますが、これが最終ゴールとなります。きちんとヒアリングしておきましょう。

⑥ターゲット・ペルソナ
→ターゲットやペルソナの意味を理解していない方も多くいらっしゃいます。用語の解説や設定することの重要を理解していただいた上で、打合せの場で煮詰めていきましょう。
きちんとそういったものが設定されている企業であれば、それを教えてもらうだけで済みますね。

➆競合他社
→webディレクターが調べるよりも、はるかにクライアントのほうが業界のことを知っています。
ベンチマークにするべき企業、参考にするべき企業を聞いておくようにしましょう。

①~➆がWebディレクターが打合せで聞くべきポイントと大まかな流れです。

その中で、私は「サイト運営はクライアント自身がやるべきだ」ということを理解させるように、努めています。

その理由は別のページをご覧いただきたいのですが、結局Web集客の成功のためにはクライアント自身が努力するということが求められているからです。

決して、Webディレクター任せにするのが良いことではないということをご理解いただければ100点満点の打合せだと言えるでしょう。

ここまでで打合せシートの上半分が埋まりますが、残り半分は確認事項です。

淡々と進めていけばOKです。

打合せシートの各項目解説

打合せシートをご覧いただくと、何故これを聞くの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

ヒアリング項目について解説していきたいと思います。

クライアント様情報

お決まりの項目ですが、制作チームにもどこの会社の打合せ内容が記載されているのかを記入しておく必要があります。

また打合せの最後には、「今後はどなたを窓口としてやり取りさせていただいたらいいですか?」と確認して、窓口になるご担当者様と連絡先も聞いておきます。

貴社について

クライアントがどんな仕事をしていて、何を売って、どうやって集客して、どれくらいの金額で売って、どういった方たちが購入しているのかを聞いていきます。

会社のことは業種のことがわからなければ、どんなコンテンツを企画するべきかも検討付きませんし、どういった競合がいるのかという調査さえままなりませんね。

また「USP」ですが、これはUnique Selling Propositionの略で、「独自の売り・強み」という意味です。

キャッチコピーやコンテンツなど、他社と差別化するために必要なヒアリング項目と言えます。

サイトについて

上記の④、⑤、⑥以外では「直近のアクセス」「直近のコンバージョン」「広告」についてもヒアリングをしておきましょう。

アクセスやコンバージョンについては直近の月間である必要はありません。

アナリティクスのアカウントをお借りできて、全て把握できればそれが最も良いですね。

これがリニューアル後どうなったのか?が効果測定のベースになりますから、きちんと把握しておくべき数値です。

また広告については現在リスティング広告の出稿の有無、またどの媒体に出しているのか等も聞いておきましょう。

どういった広告の反応が良いのか、悪いのか、どんなキーワードで広告を出したらクリックされているのか、などといった情報はコンテンツを企画したり、SEO対策をする上でも重要な情報となります。

こちらも聞き逃さないようにしたいですね。

確認事項

上記までで、頑張っていきましょうね!と締めておいて「ここからは確認なんですけど」と進めていけばOKです。

ドメイン・・・使用するドメイン、また新規で取得するのか、これまで使っていたものを現在の制作会社から移管して使用するのかを確認していきましょう。
新規で取得する場合はその場で検索して、取得してしまうと良いでしょう。
ドメインは世の中に一つしかありませんから、先に獲られてしまえば希望のドメインを使用することができませんからね。

既存サイトの記事移行・・・リニューアルの場合、既存サイトにあるコンテンツは新サイトに記事移行するのかどうかの確認です。
これは契約内容によるかもしれませんが、記事数が多いと大変な負担です。
「やってくれると思ってた」「やらないなんて聞いてない」といったことがないよう、ここでも一度確認を取っておきましょう。

希望するデザイン・・・話が盛り上がるポイントですが、デザインにあまりに固執されると制作が前に進みません。
希望のテイストや会社の方針的に守らなければいけない事、また参考になるサイトを聞くくらいでさっさと次の項目に進みましょう。
ここで時間を取るのはナンセンスです。
デザインでつまづくWebディレクターの方はこちらのページをご覧ください。

素材のご提供・・・クライアントに何を依頼できるのかという線引きをしておきましょう。特にコンテンツ原稿や写真については、トラブルの元にもなりやすいので、ライティングはどちらが行うのか?写真はクライアントが用意してくれるのか、制作側が用意するのか等確認しておきましょう。

ご希望の公開日・・・つまり納期ですね。スケジュールを組む際はここから逆算して、計算しますから必ず確定しておきましょう。
お客様によっては「だいたい」でお答えになる方もいらっしゃいますが、打合せの段階ではそれでも問題ないでしょう。

その他・・・確認事項に限らず、打合せの中で出た重要な内容についてメモしておきます。
またクライアント自身が、打合せシート以外にも確認したい内容や話しておきたい内容があるかもしれませんね。
打合せの最後には「他に何か聞いておきたいことはありますか?」と質疑の時間を取るようにしてあげてください。

打合せシートは営業時にも使えます

いかがでしたでしょうか。

Webディレクターの方が打合せ時に必要なことを漏れなく、聞けるようまとめた打合せシートですが私自身10年以上Webディレクションという仕事に携わり、マイナーチェンジも加えながら、現在の形になった打合せシートをご紹介させていただきました。

またWebディレクターの方にはもちろんですが、営業の方がWebに関することを聞いていく上でも非常に使えるシートになっています。

見積り作成時に、現状を改善するためにどんな提案が必要で、どんなところまで自社で請け負うのかをはっきりさせる上で非常に使いやすいヒアリングシートになっていますので、職種を問わず様々な職種の方にご活用いただけたらと思います。