デザイナーへの指示に困らないためにwebディレクターが覚えるべきこと

Web制作の現場ではデザイナーに限らずプログラマーやコーダー、そして様々なアシスタント、外注先などの関係者と連携を取りながら進めていく必要がありますよね。
特にWebディレクターはその輪の中心であり、特にデザイナーとはあらゆる局面でコミュニケーションをとる機会があるのではないでしょうか。
クライアントに最も近い立場であるディレクターが、クライアントが達成するべき目標を理解し、そのために必要な企画・戦略を練り、形にするため理想のイメージや雰囲気を言葉として伝えていく必要があるわけですが、ここでも優秀なディレクターとそうではないディレクターでは工程の進捗に大きな違いが出てきます。こちらのページでは理想のデザインをデザイナーと一緒に作り上げるためにディレクターが覚えておくべきポイントについて解説していきますね。
ワイヤーフレームまではディレクター一人でやるようにしましょう
私がこれまで在籍していた会社ではディレクターがコンテンツを決定し、ワイヤーフレームまで作成するという役割を担っていました。もちろん独立した今もそうしています。
理由は、それが業務を進める上でもっともスムーズだからです。
逆にここまで一人で完結できなければならないとも思います。
ちなみにデザインフェーズに入るまでには、
・クライアントとの打ち合わせ
↓
・コンテンツ検討
↓
・ワイヤーフレーム作成
と進みますが、そうなって初めてデザイナーにパスを出せる段取りができるというわけですね。基本的に私は打ち合わせの席にデザイナーを同席させることはありません。ここまでは必ずディレクターの仕事としてやるものだと考えています。またそう教えています。
それはなぜか?
それは、デザイナーにデザイン業務に集中してもらうため
です。
わざわざデザイナーが時間を作らなくても、ディレクターが窓口になり、クライアントの要望を理解できればそれを伝えればいいだけですから、そもそもデザイナーが行く必要はないんです。その間に一つでも多く制作していただければ、そちらのほうが良いじゃないですか。
でもこれって、耳障りのいい言い方なんですよ。
本音の言い方をすると、
クライアントを理解し、代弁者として制作のリーダーを務めるのがディレクターであり、制作の最終決定は全てディレクターがするものであるため、そもそもデザイナーを連れていく必要はないし、デザイナーの意見に左右される必要もないからです。
(意見は聞いて参考にはしますからね)
すごいキツイ言い方かもしれませんが、決してデザイナーを下に見ているわけではなくディレクターが全責任を負う仕事の仕方をする必要があるということなんです。
そういう役割なんですよね。
デザイナーにものすごい理解力と深い見識があればいいんです。
ただ、、、そうじゃないことも多いじゃないですか。
万が一、誤った理解をしてワイヤー作成やデザインを行えば、手戻りも発生して、大変です。もう目も当てられませんよ。。。
ワイヤーフレームであれば業種によってユーザーが必要とするコンテンツも違いますから、過去のデータからクリック率やアクセス数などマーケットを俯瞰的に見た上で優先順位を決めてコンテンツを配置しなくてはいけません。
デザインにしても配色やテイストなどペルソナを理解しなければ、的外れなものになってしまいます。
何となく収まりがいいからこんなレイアウトで・・・とか、私はこんなテイストが得意なので・・・みたいな自分勝手な感じではダメですよね。 デザイナーはデザインのみに集中させ、そこまでのお膳立てをしっかりするのがディレクターの役割だということを意識してみましょう。そうすることでデザイナーの負担も減りますし、間違った方向に進むこともありません。
手戻りもコストだと意識しよう
そういう意味ではディレクターは進捗管理だけではなく、マーケティングやデザインにも精通していなくてはいけないわけですね。ディレクターに賢智があれば、クライアントも制作スタッフも迷うことはありません。いつでも正しい道を示すことができますからね。
で、なぜそこまでディレクターが賢智を広げなくてはいけないかというと仕事を「手戻りさせないため」なんです。
(もちろん成果の出るWebサイトを制作するためという大前提は忘れてはいけません)
・ワイヤーフレームを書き直す
・デザインをやり直す
・コーディングを修正する
など、大変ですよね。
例えばデザイン費用として20万円いただいているのだとしたら、当然6万円~8万円程度でおさえて、利益を出さなくてはいけません。(私は見積額に対して制作費は35%程度に抑えてコスト管理をしていました)
もし、手戻りがあったらその分どんどんコストを圧迫してしまいますよね。
ちなみに私は過去大小、LPやコンテンツのみなども含めて1,000件近く、制作してきましたがクライアントからのデザインの修正は1%未満です。
クライアントに出すまでに、
●打ち合わせで十分なヒアリングを行い、
●クライアントの目的をきちんと理解した上で、
●マーケティングを行い、論理的なワイヤーフレームを作成し、
●ペルソナに訴求するキャッチコピー等を配置した上で、
●デザインを行い、その意図をディレクターがきちんとクライアントに伝えられれば、
デザインが通らないといったことはありません。
この5つはめちゃくちゃ大切なんで絶対覚えてくださいね。
通らないということはクライアントが「そのデザインが好き嫌い」という土俵で戦ってしまっているんです。結局ディレクターの誘導が間違っているんですよね。
大切なのは、クライアントが好きか嫌いかではなく、目的が達成できるデザインやコンテンツの配置になっているかどうかです。
つまりクライアントの先にいるユーザーが目的を達成してくれるかなんですよね。その視点をあわせてあげなければいつまでも経っても「ここがちょっと」とか「もうちょっとカッコよく」とか見た目の話になってしまうんです。
クライアントはあくまでも素人です。 クライアント自身が好き嫌いで物事を言っているようなときはきちんと目的を改めて共有して、あくまでもユーザーのためのサイトであるということを教えてあげるようにしてください。
デザイナーへの指示の注意点
この話は決して対クライアントに限った話ではありません。
クライアント自身が好き嫌いになってしまい目的を見失ってしまうくらいですから、デザイナーも然りです。
デザイナーへ指示するときに一番意識していただきたいのは、
「ユーザーを意識した仕事をさせる」ということだけです。
本当にこれだけです。
つまり、デザイナーも好き勝手やらないように手綱を握って、クライアントの先にいるユーザーに目を向けて仕事をさせるように指示をするということです。
「20代でアクティブな女性がターゲットだから、明るく活発なデザインで行こう」とか、
「ターゲットの年齢層は60代だからフォントの大きさをもう少し大きくしよう」とか、
あくまで話の中心はユーザーであるということを絶対に忘れてはいけません!
ディレクターまでが好き嫌いで話してしまうと、好き嫌いの感覚なんて人それぞれですからいつまでたっても完成なんてしませんよ。 喧嘩のもとになるだけです笑
ディレクターはどこまでデザインについて知っておくべきか?
正直、私はフォトショップもイラストレーターも触れません。
というか、とうの昔に放棄して使い方を忘れてしまいました。
デザインの学校にも通っていませんし、デザイナー上がりでもありませんから、デザイナーにデザインを教えるということはこれまでしたことありません。
というかおそらくできません。
ただし、手戻りなく一発でクライアントからOKをいただくためにクライアントへの提出前には、当然直接私がデザイナーに修正指示を出します。
その話の中心は、何をおいても「ユーザー目線に立つという事」ですが、こうした考え方以外にも色がどうとか、フォントがどうとか細かな指示を諸々出します。
その時に注意するのは、具体的に数値を示して指示をするということです。
例えば、全体の色味が雰囲気に合ってないと感じて色の変更をさせたいとき「もう少し明るい赤で」なんてことは極力言わないようにしています。
赤って言っても、夕日の赤、血液の赤などいろいろですからね。
デザイナーとしては「いやいや、明るい赤ってなんだよ」って話だと思うんですよ。
ですからカラーコードを指定する、フォントの大きさも数値で指定する、marginやpadding、画像サイズなども数値で指定してあげることでできる限り具体的に修正内容を伝えるように心がけています。
またその場で一緒に見ながら、あーでもない、こーでもないといった話をしてデザイナーが迷う時間を極力少なくしてあげるように意識もしています。
また一からデザインを起こしてもらう場合は、できるだけ自分のイメージを伝えられるように参考サイトを3パターンほど用意して、どのサイトのどういった部分が今回の目的に沿うのかをきちんと伝えるようにしています。 これもデザイナーがあれこれ迷う時間を減らして、作業に集中できるようにするための工夫ですよね。
デザイン制作にプレッシャーを感じるディレクターの方へ
最後に、
私はディレクターの方には、デザインであまり気負わないでほしいと思っています。
クライアントにとってみれば、サイト制作の中で一番楽しいのってデザインが上がってきた時だと思うんですよね。責任者としてデザインにプレッシャーを感じることもあるかもしれません。
費用をもらって制作していますからもちろん「なんじゃこりゃあ!」みたいなのは論外ですが、そんなのを上げてくるデザイナーに任せませんよね?
プロのデザイナーに仕事を任せているわけですから、ワイヤーまで作って、クライアントの目的と気持ちを伝えたらあとは大船に乗ったつもりで任せてしまってください。
もっと言うと、そんな驚くような素晴らしいデザインでなかったとしても、
●ペルソナに合ったデザインテイストである
●使いやすさや見やすさに配慮されている
●コンバージョンを意識したコンテンツの配置になっている
といった最低限のルールが守られていれば、デザインはそれでOKです。
あとはそれを通すのがディレクターの仕事なんです。(u)一発で通す回数が多いほど、デザイナーからの信用も上がりますよ~
つまりそれだけクライアントのことが理解できているディレクターだと認識してくれますから、言うことを聞いてくれるようになるんですね。
はい、というわけでそんな超一流のデザインを上げる必要なんてないということを覚えておいてください。 目的が達成できるデザインであれば、結果としてクライアントは満足してくれますからね。